セラピスト向け 体幹

体幹筋の促通の為の神経学的理論

はじめに

こんにちは、taiです。

いきなりですがリハビリの最中、「背筋を起こして歩いて下さい!!」と患者さんにお伝えしてもリハビリ中はよくても、終了後はまた元の姿勢に戻っていることを経験しませんか?では、なぜ姿勢が元に戻ってしまうのでしょうか??

本日は、そのような疑問をタイトルにもありますように神経学より概説していきたと思います。今回も私見を含みますので詳しくは参考文献をご確認ください。

 

内容

初めに下図にお示しする図をご存じでしょうか?知っている方も多いかと思いますがこれは、旭川医科大学の高草木先生の文献より引用させて頂いた内側運動制御系と外側運動制御系の図になります。

皆さんが知っている随意運動を司る錐体路(外側皮質脊髄路)は錐体交差をして対側の四肢の運動など末梢を支配し、これを外側運動制御系と呼びます。

また、姿勢制御を行う経路しては、主として網様体脊髄路が両側性に体幹や股関節や肩関節などの近位部を支配し、これを内側運動制御系と呼びます。網様体脊髄路系は外側皮質脊髄路が神経線維数が約100万本に対して、約1800万本と多くの神経線維を有しています。また、脳幹からも毛様体脊髄路は起始を有している為、脳卒中などの大脳の損傷があり脳幹は残存している場合には、姿勢制御への改善はアプローチによって期待することができます。

 

また、錐体路は、運動野を起始とするのに対して、体幹を制御する皮質毛様体脊髄路は運動前野や補足運動野から始まります。つまり、運動前野や補足運動野は実際の動作を行う前の構えを作る場所(=姿勢制御を行う部位、つまりFeedforward制御)であり、動作に先行して働く必要があります。よって、意識下での錐体路とは違い、無意識下にて働くことになる為、体幹へのアプローチとしては無意識下でトレーニングを行うのが望ましいと思われます。ではどのように、体幹など無意識下での姿勢制御へのアプローチをしていけばよいのでしょうか?

tai
それは姿勢保持筋を促通させる為の有酸素運動とリズミカルな運動が重要となります(姿勢保持筋=遅筋の為に有酸素運動、脳幹レベルでのCPGの促通の為のリズミカルな運動)。

具体的なアプローチ方法に関しては、以前のブログ必見!!胸椎伸展の促通方法!に一例を記載してありますのでご確認お願い致します。

 

まとめ

上記のように随意運動を支配する錐体路は四肢の末梢を支配し、姿勢制御を行う毛様体脊髄路は体幹近位部を支配しており、それぞれ神経支配が異なっています。よって、神経支配を考慮して運動療法も構築していく必要があります。特に毛様体脊髄路は体幹などの近位部を両側性に支配しており、特に同側優位である為、左脳の損傷による右麻痺の場合は左非麻痺側側の体幹が優位に弱化する可能性もあります。よって、非麻痺側も含めて評価・アプローチしていくことが大切となります。

いかがだったでしょうか?今回は、神経学的な視点より、随意運動と姿勢制御の神経支配について概説しました。毛様体脊髄路系の方が神経線維の数が多く改善も見込みを多いにあるかと思います。また、臨床上においても体幹にアプローチしてからの方が、姿勢制御が図れ末梢の過緊張軽減や随意性改善に繋がるケースも見受けられます。私自身もまだまだ不十分なところも多いですが、今後も臨床頑張っていきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

引用文献:高草木薫,臨床神経学49巻6号

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