セラピスト向け

必読!片脚立位における構成要素とは!?【下肢筋力に着目して】

はじめに

こんにちは、taiです。

本日は、前回に引き続き、臨床で実施する場面が多い片脚立位の構成要素として、下肢筋力に着目していきたいと思います。※筋力だけでなく+αありますがご容赦ください…

片脚立位の体幹の筋活動については、前回のブログ必読!片脚立位における構成要素とは!?【体幹筋活動に着目して】をご確認ください。

内容

3種類の文献を抜粋しながら説明していきたいと思います。詳しくは、原著をご確認ください。

①村田伸先生【開眼片足立ち位での重心動揺と足部機能との関連】

目的・方向:健常女性を対象に下肢筋力(腸腰筋、大殿筋、中殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、前傾脛骨筋、腓骨筋)、足把持力、足底感覚(二点識別覚)を測定し、開眼片脚立位での重心動揺との関連性を検討しました。※対象者は全員、30秒片脚立位保持可

結果:

片足立ち能力に影響を及ぼす因子は、足把持力と足底感覚(二点識別覚)であり、上記二点で片脚立位時の重心動揺が安定していました。

総軌跡長と外周面積と相関を示したのは、二点識別覚、中殿筋、足把持力、大腿四頭筋筋力でした。

※総軌跡長:床反力作用点の総移動距離、外周面積:床反力作用点の移動した外周の線で囲まれる面積⇒それぞれ重心動揺の程度を表す代表的な指標となります。

tai
重心動揺の安定には主要な筋力も必要となりそうですね

これらより、片脚立位が30秒以上保持できる場合は、足底感覚や足把持力を鍛えることで、より安定して保持できる可能性が示唆されますね。

その他、主要な下肢筋力と片脚立位に有意な相関を認めなかった理由として年齢が挙げられます。今回は30秒以上、片脚立位が行える健常者を対象としていた為、相関を認めなかった可能性があります。

②笠原美千代先生【高齢患者における片脚立位時間と膝伸展筋力の関係】

目的・方法:高齢患者を対象に膝伸展筋力を筋力別に分け、片脚立位時間に及ぼす影響について検討しました。※片脚立位時間も時間別に分けました。

結果:

膝伸展筋力低下に伴い、片脚立位を遂行できる割合が減少しました。

膝伸展筋力が1.20Nm/Kg以上では、10秒と30秒に大きな差は認めず、逆に下回ると、その割合は低下しました。

30秒の片脚立位の保持は膝伸展筋力が0.60Nm/Kgを下回る全症例が不可能でした。

tai
高齢者には大腿四頭筋の筋力は影響しそうですね

③宮崎純弥先生【下肢筋力が片脚立位保持と重心動揺に及ぼす影響について】

目的・方法:ADLが自立した若年女性群9名と高齢女性群10名を対象に膝伸展筋力、膝屈曲筋力、股外転筋力が片脚立位保持の可否と重心動揺に及ぼす影響を明らかにすることとしました。

結果:

高齢群のうち3名が片脚不可能であり(高齢不可群)。そこで、若年群、高齢群、高齢不可群に分けると、膝伸展、膝屈曲、股外転筋力体重比は、高齢群と若年群および高齢不可群と若年群との間にそれぞれ有意差を認めました。また、高齢不可群の体重比は高齢群の体重比に比べ、それぞれ膝伸展74%、膝屈曲72%、股外転56%であった。相関は高齢群(n=7)の股外転体重比と重心動揺距離との間に有意な相関を認めました。

考察:ADLが自立しているのにもかかわらず、3名の高齢者は片脚立位保持が不可能でした。これらの高齢者では、股外転力の低下が著明であり、股外転力が片脚立位保持に強く影響を及ぼしている可能性が示唆されました。このことから、下肢に障害を有する高齢者は、さらに筋力低下傾向を示すことが予想されました。

tai
入院患者さんでは、股関節外転筋力を鍛えるのはもちろん、他の主要な下肢筋力向上も必要ですね

◆片脚立位からやや逸れますが…バランス機能においては

Daubneyの【Lower-Extremity Muscle Force and Balance Performance in Adults Aged 65 Years and Older】は転倒者と非転倒者間の下肢筋力の唯一の違いは、足関節背屈筋および股関節伸筋であり、足関節背屈筋力のみが転倒状態の予測に寄与しました。この研究の結果は、下肢遠位筋力が高齢者のバランスの維持に重要であることを示唆しています。足関節底背屈筋力がバランスとも関与しており。これらを鍛えることも重要であるとされています。

tai
片脚立位はankle strategyを主で用いる為、足関節底背屈筋の制御はもちろん必要ですね

臨床でどのように用いるか?

上記で挙げた筋のOKCでの筋力強化はもちろん、スクワットなどのCKCでの筋力強化も下肢が協調的に働くためには重要かと思われます、また、片脚立位はバランス能力の要素も必要である為、ankle strategyを用いたバランス練習も併せて必要になってくるかと思います!

まとめ

いかがだったでしょうか?本日は、片脚立位に必要な下肢の筋活動について述べました。主要な下肢の筋力強化と併せてバランス練習も取り入れることでより協調して姿勢を保持できるかと思います。また、それが結果として高齢者の転倒予防にも繋がってくるかと思います。適宜、上記の筋を評価して筋力低下や筋発揮が不十分な場合は促通し、片脚立位も併せて変化があるか確認してみましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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