こんにちは、taiです。
本日は、足部内在筋である虫様筋と背側骨間筋の機能解剖とダイレクトストレッチを説明した後、足部のアプローチにより股関節の柔軟性が改善する機序についてご説明したいと思います。
初めにダイレクトストレッチとは?
・筋肉に指などを引っかけ、その筋肉の走行に対して直行する方向へ押したり引いたりして直接、骨格筋を伸張させる手技。伸張性改善の他に滑走性改善にも有効。
・痛みなどによって関節運動を行えない場合、関節動を伴わないダイレクトストレッチが有効といわれています。
・効果としては、15 秒や 30 秒といった短時間の介入によって,ROM や 筋腱複合体の粘弾性(stiffness),痛みの耐性 といった骨格筋の伸張性に関連する指標が変化した。(内川ら,2016)
上記の様な手技であり、臨床で行っている方も多いかと思います。
実施する上で重要なポイントしましては、
①筋の走行をイメージできるようにする。
②指だけで押さず、腕や体全体で行うようにする。
③硬い筋は滑走障害等により疼痛を生じやすい為、初めは軽く実施する。
等が挙げられます。
①については、ダイレクトストレッチは筋を直接操作する手技になりますので、筋の走行が理解できていないと操作することができません。
なので、まずはどのように走行しているのかと体表からでもイメージできるようにしておくと効果的に実施できると思います。
②については、特に硬い筋については、指だけで行おうとするとついつい手指のDIP・PIPの屈曲が入りやすくなってしまい、実施の際に対象者が不快に感じやすく効果的に行うことができません。なので、これも腕や全身を使うように心がけて実施した方が効果的なことが多いです。
③については、硬い筋だと強く操作しやすくなりますが、まずは表層の皮膚や筋膜含めた組織から狙って行い、徐々にしっかりと狙った筋を操作した方が効果的にダイレクトストレッチを行いやすいかと思います。
では、次に本日お伝えする2つの筋(虫様筋と背側骨間筋)の機能解剖についてご説明していきたいと思います。
虫様筋
背側骨間筋
Q.なぜ足趾が股関節の柔軟性と関連?
タイトルでもお伝えした通り、足趾の柔軟性がなぜ股関節の柔軟性の柔軟性と関連しているのかを考える上で重要なのが、神経を考えると理解しやすいと思います。下図をご覧ください。
私たちは、脳・脊髄などの中枢神経と、脊髄から分岐します末梢神経に分類することができます。
今回、特に下肢の後面を走行する座骨神経からの分岐を考えていきます。
坐骨神経は、膝あたりで脛骨神経と深腓骨神経に分岐していき、更に足部でそれぞれ分岐し末梢の神経(虫様筋は内側・外側足底神経、背側骨間筋は外側足底神経支配)へと分岐していきます。
その際、下図のように今回お伝えした虫様筋や背側骨間筋に末梢神経が隣接して走行しているが見て分かるかと思います。
つまり、虫様筋や背側骨間筋が硬くなると足部の末梢神経の動きも悪くなりそうではないでしょうか?
上記の理由により、座骨神経も伸張されることにより、股関節屈曲やSLRなどが制限されることになるわけです。
なので、今回の筋をダイレクトストレッチにて柔軟性を改善させてあげることで、足部の末梢神経の滑走性もよくなり、股関節の柔軟性が改善するという機序になります。
実際の評価とダイレクトストレッチの方法
①初めに足趾開排やSLR、股関節屈曲の可動域を評価を行います。効果判定にもなる為、治療前の評価は大切です!
②虫様筋は足趾(MPjt)伸展位、背側骨間筋は足趾(MPjt)屈曲位で筋の走行に沿ってダイレクトストレッチを実施しましょう。足部が硬いと表層の皮膚も固いので初めは皮膚を擦るようにして表層の柔軟性を出しつつ、徐々に深層へアプローチしていくと効果的かと思います。
私は、図のように指一本で擦るようにして、徐々にダイレクトストレッチの仕方である筋に対して直行するように、ストレッチをかけていきます。
③アプローチ前に実施した可動域を再評価しましょう。
④解釈としては、改善すれば足趾の影響で股関節の柔軟性が低下していると推察し、改善しなければ他の要因(直接、座骨神経が絞扼している等)orアプローチが不十分・効果的に実施できていないと判断できるかと思います。特に技術不足はできるだけ生じないように反復して練習することをおススメします。
また、股関節の可動域に変化が出なかったとしても、変わらなかったという結果は問題点となる要因を1つ消せたことになります。よってポジティブに捉えて、真の問題点を更に検討していけると良いかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は足趾のダイレクトストレッチにより股関節の柔軟性が改善する可能性があることをお伝えしました。特に、神経へのアプローチは最近のトピックスにもなっている印象ですので、是非一度、自分の足を用いて経験してみると良いかと思います。
機序のまとめ
①坐骨神経⇒脛骨神経・深腓骨神経⇒更に足部など末梢へ分岐
②末梢部の虫様筋・背側骨間筋等のtightnessにより末梢神経も滑走障害が生じる
③下肢後面の神経の絞扼によりSLRや股関節屈曲の柔軟性低下
⇒今回の筋へのアプローチで末梢神経の滑走性が改善する!
最後まで読んでいただきありがとうございました。