皆さん、上記のワードを一度は聞いたことがありますよね?(学生時の授業や参考書等で)
よくバランス能力の評価時など姿勢を保持している際に使用される言葉ですが、この3つの言葉どれも似ていて、混乱しませんか?(私だけですかね…(笑))
今回はこれらについて私自身の整理のためにもまとめてみました。
- カウンターウェイト(以下CW)
CWはよくヤジロベーで表現されることが多く、一番3つの中で馴染みやすいのではないでしょうか?これは、身体質量を利用し、てこの作用を用いることで身体重心が支持基底面内から逸脱しないようにする平衡機能のことを指します。
例えば、座位での側方リーチ時に、ある一定までリーチしていくと移動側と対側の上肢の挙上や両下肢の対側への移動が出現しリーチ側へ転倒しないように、質量でつり合いをとるような現象です。
- カウンターアクティビィティー(以下CA)
CAは運動の拡がりを意図的に拮抗筋活動で制動することをいいます。
はて、文章だとわかりづらいですね。例えば、片脚立位をした時に意識しないと支持側へ体幹が傾斜し遊脚側下肢は外転等が生じますよね(=これらはCWですね)。これに対し体幹傾斜が生じないように意識して片脚立位を行うと、自然と足部や股関節周囲筋、支持側体幹筋が働きませんか?これがCAです。CAは筋活動により床反力を能動的に制御する平衡機能です。
- カウンタームーブメント(以下CM)
CMは特定の運動の拡がりに対して対側からの運動の拡がりを利用して制御する活動を指します。つまり、ある運動に対して逆方向の運動を行うことでバランスをとる戦略のことです。CMはスポーツ競技でよく観察できます。例えば、トランポリンなどでの対称的な運動で姿勢定位し、非対称的な運動で複雑な回転・回旋運動を制御しています。サッカーのシュートもボールを蹴る際の回転・回旋力を腕を用いて蹴る側と反対に回旋させることでバランスをとっています(そうでないと蹴った際の回旋力でそのまま全身が回転しバランスを崩してしまうため)。また、歩行時での肩甲帯と骨盤帯の逆回旋運動もCMの作用となります。
まとめると、
①CW=身体質量を用いたつり合い
②CA=筋活動により床反力を能動的に制御
③CM=ある運動に対して逆方向の運動を行うことでバランスを制御
となります。
では、臨床ではどのように活かしていけばよいでしょうか?
例を脳卒中者右片麻痺で座位での側方リーチを考えてみましょう。左非麻痺側へのリーチの場合は、右麻痺側上下肢でのCWの活性化不足や麻痺側体幹のCAが作用せず体幹屈曲などの代償動作が生じる可能性があります。また、麻痺側への移動時には麻痺側体幹、股関節周囲筋等のCAが活性化しづらく支持機能として反応しない為、非麻痺側でのCW(非麻痺側方向への頸部や体幹の側屈など)を過剰に用いる可能性もあります。個人的な意見としては、筋発揮を用いて制御するCAが機能しておらず、CWで代償している個所を動作や姿勢を通じて評価し介入することが重要かと思い、臨床でも意識しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。