はじめに
こんにちは、taiです。
今回は、治療の効果判定として用いられるMCID(minimal clinically important difference)について、お話ししたいと思います。
私自身も最近、学んでいるところですので、まだまだ臨床で活かしきれていないのが現状です。
知識の整理として、まとめていきます。
内容
MCIDを用いるのに、例えられる一例として、バランスのスケールであるFBSの点数が一か月で25点から29点になりました。
一か月間で4点向上したことになりますが、果たしてこの4点はリハビリの効果なのでしょうか?それとも自然治癒によるものなのでしょうか?
この疑問を解決するのに用いられるのがMCIDです。
MCIDとは「臨床的に意義のある最小変化量」のことを言います。
つまり、リハビリなどの介入による変化量がMCIDを上回っていれば、意味のある変化(=改善)が生じたと判断することができる値となります。
例えば、Tamuraらによると発症約30日間の亜急性期脳卒中者の1か月間のFBSのMCIDは歩行介助が必要な群では5点と報告しており、この点数を上回るとリハビリにおいて意味のある改善を図れたといえます。
Fulk GDらは、6分間歩行テストにおける回復期脳卒中者のMCIDは71mと報告していたり、Tilsonらの、10m歩行テストにおける亜急性期脳卒中者のMCIDは0.16m/sと報告があったりします。
MCID の求め方はCopay AGらによるとアンカー法(anchor-based methods)と分布法(distribution-based methods)に大別されますが、特に前者のアンカー法が望ましいとされています。
アンカー法は、対象者の介入による主観的な変化度合を外的指標に反映させ、それら外的指標の中で最小差と規定した水準に一致するアウトカムの測定値を推定する方法です。
分布法は、標準偏差や測定の標準誤差といった標本分布から統計学的に求めていきます。MCID の推定は、単に測定値分布を用いるだけの分布法よりも、主観的な改善度合いを順序尺度化したものを外的指標としています。
ここで、留意しなければいけないのが、①サンプル、②病期、③介入期間で値が変化することです。
①サンプル:当然ですが上記のFBSのMCID5点は脳卒中者の為、運動器疾患では同様の結果とは言えません。
②病期:病期に関しても急性期と維持期では結果が異なるかと思います。
③介入期間:こちらも同様に期間が変われば、おのずとMCIDの値も変化するかと思われます。
⇒上記の留意点のようにMCIDを用いるには、疾患等に配慮して個別に確認していく必要があります。
しかし現状、各評価指標の全てが網羅さえれているわけではないので、類似している報告に当てはめて検討していくのが大切かと思います。
例)Tilsonらの、10m歩行テストにおける亜急性期脳卒中者のMCIDは0.16m/sと報告されているが、回復期でのケースで歩行速度が0.25m/s改善した場合は、リハの効果があるのではないか。
是非、文献を確認しながら臨床に活かせるとよいかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、臨床的に意義のある最小変化量を示すMCIDについてまとめました。
実際に、臨床でMCIDを活用できると、より説得力が増すとともに、現在のリハ内容の再考などにも活かせるのではないかと思います。
また、論文も様々な指標で出てきていますので是非確認して頂き、個別の事例に合わせて適応していけるとよいかと思います。私自身も積極的に臨床に活かしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。