はじめに
こんにちは、taiです。
今回も久しぶりに私のバイブルである臨床動作分析より自分なりに解釈してお伝えしたいと思います。富田昌夫先生の理論を用いたものですので、正確な知見は本書の臨床動作分析の確認をお願い致します。個人的には確実に臨床の視点が変わりますので、大変お勧めの良書です!!
今回の内容は、以前もご説明した、アフォーダンスとは??私たちが決めるのではなく環境との関係で決定される!!の内容の続きとなりますので、是非ご一読して頂ければ幸いです。
内容
ある動作(行為)を行うためには、刻刻と変化していく環境に適応していく必要があります。具体的には、足場の悪いところに立って作業する、不安定な場所を走る等…
では、どうやって環境に適応していくのかというと、そうです!!私たちは環境を探る為のセンサーとして❝五感❞があります。※目で見たり、耳で聞いたり触ってみたり…
また、五感と関連して初めに人は❝自分の周囲にある支持面を探索することで自分の体を知ること❞が非常に重要となります!
以上を踏まえ、まずは私たちのいる足元・土台が安定しているかを確認することが重要ですが、私たちはどうのようにして確認し適応しているのでしょうか?
この環境への注意モードとして、アフォーダンスを提唱されたギブソンは5つの知覚システムを提唱しました。
また、玉垣は、このシステムの特徴は五感にあたる4つのシステムが基礎的定位づけシステムとの相互の関連性の中で成立するとしていると述べています。(下図)
ギブソンは、基礎定位づけシステムを、全身の姿勢を環境に対して動的に定位させるためのシステムと位置づけており、全ての知覚システムの定位の基盤となっています。
例えば、何かを見る為に目で見たり頸部の運動で物を追ったり、足底面の感覚で安全な地面かを感じたり…
この安全だ!!と知覚できた支持面は物理的な安定だけでなく、精神的な安定にもつながり、逆に精神的な安定や落ち着きは支持面の知覚を促すとも考えられています!!
臨床においても、土台(背臥位や座位、立位など)が安定するように介入し、精神的に安定するような声かけや難易度調整はとても大切だと思います。そうすることで、安心して能動的に動けるようになり、五感をフル活用して環境を探索できる=能動的に動作を行えると思います。
このように、人間は能動的に動くことでその都度、外部環境を知覚し相互関係を築いています。他動的では、このような知覚は伴いません。※後日説明するダイナミックタッチ等ではこの限りではありません…しかし、重要なのは、自分で能動的に動くことなので、動きたいと思えるような課題難易度の調整、環境設定=安心・安全の提供や過緊張を除去させた知覚しやすい身体になるように心がけて介入していく必要があります。
上記は環境に適応していく為の知覚システムについてご説明しましたがここからは、具体的な各システムを見ていきたいと思います。
初めに基礎定位づけシステムについて説明していきたいと思います。
上記にも述べましたがギブソンは、基礎定位づけシステムを、全身の姿勢を環境に対して動的に定位させるためのシステムと位置づけており、この定位を保つために触ったり、目で見たりして安全を確認して、より安全な支持面を知覚できたりと、相互に五感と関連して成り立っています。
同様にリードは基礎定位づけシステムについて、2つの定位◆第1の定位は、そこにいること、◆第2の定位が安定性限界を逸脱し逸脱した先で立ち直ること
と述べています。
この2つが良好な状態とは、身体機能的には、効率的な抗重力伸展活動が可能な状態である!!と言えます。
つまり、重力のある地球で生きる為の、私たちが必要な機能となります。
よって、加齢に伴い脊柱が後弯していき、抗重力位が保てなくなると、土台が不安定となり、安心して五感も使用できなくなってしまいます。※もちろん、加齢に伴って五感の機能も低下してきてしまいますが…
私たちにできることは、抗重力伸展活動に働きかけ土台を安定させることがまずは重要です。どのように土台を安定させていくかというと、触れるなどの五感を用いて促通していくことが必要となります。
では、脳卒中により感覚障害などで触るのが知覚しづらい場合は、どうすればよいのでしょうか?
次回は、その答えとなる接触システム(アクティブタッチやダイナミックタッチ)について説明していきたいと思います。
まとめ
私たちが様々な環境に適応していくためには、常に五感を使用しています。また、五感と関連しながら抗重力伸展活動による姿勢が保持できることが、とても重要となります。抗重力伸展活動が行えて、支持面が安全であると感ることで、その他の知覚も安心して働くことができ動作の遂行に繋がっていきます。
よって、まず私たちは患者さんに静的に定位できる抗重力伸展活動に働きかけていき、その後動的に定位できる姿勢も求めていけるとよいかと思います。
もちろん、足りない部分は環境調整や歩行補助具の検討など安心して知覚できる配慮も検討していけると、患者さんご自身で能動的に探索して、自分自身の体を知ることができると思います。⇒それが、結果としてバランス能力の向上などのパフォーマンスの向上に繋がります!
いかがだったでしょうか?今回の内容は、環境適応に対しての総論になってしまい、難しくなってしまったかもしれません。自分自身も、まとめながら難しいなと感じていました。しかし、今回の内容を理解して臨床に活用ことができれば、受け身のリハビリから患者さん主体の能動的なリハビリへと変わることができると思います。もちろん、機能障害等により知覚できない場合は、私たちが気付きを与えつつ介入することも意識して、一緒に臨床に励んでいきましょう!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。