はじめに
こんにちは、taiです。
本日は、以前のブログでご紹介した拘縮と疼痛を改善させる為の考え方:トランスレーション理論とは!?の補足や具体例を更に追記していきたいと思います。
拘縮と疼痛を改善させる為の概念としたトランスレーション理論については、赤羽根良和先生の書籍「ひざ100」より、参考・引用していますで是非気になる方はご参照ください。
内容
初めに復習ですがトランスレーション理論とは
「拘縮の存在が関節周囲組織の高度バランスを崩し、正常な軌道から逸脱した関節運動を引き起こす」
ことを指します。
上記を簡単に要約すると、「拘縮により関節は求心位(関節中心)を保てず、ブレが生じて疼痛が出現しやすくなる」
と解釈できます。※トランスレーション理論の詳細は以前のブログ拘縮と疼痛を改善させる為の考え方:トランスレーション理論とは!?を参照してください。
では、具体的にどのように評価していくのかというと以下の図のようになります。
臨床での手順・考え方
①まず、初めに疼痛が生じている組織を評価します。例えば、膝関節伸展を強制した際に膝前面に疼痛が生じていたとします。
この際、評価をしていく中で膝蓋下脂肪体が痛みを出していたとします。
そして、膝蓋下脂肪体をアプローチした結果、疼痛が残存していた場合、次のステップに進みます。
②次のステップとしては、後面(拮抗側)の組織の硬さを評価します。
そして、半膜様筋などの後方組織に硬さを見つけた場合は、そこをアプローチしていきます。
その後、前面の痛みが軽減・消失した場合は後面筋の硬さにより膝蓋下脂肪体がストレスを受けていたと言えるわけです。
③最後のステップとして、後面筋の組織にアプローチしても前面の疼痛が取り切れない場合は、その他の隣接関節の影響を考慮していく必要があります。
具体的には股関節・足関節の可動性低下、脊柱の後弯による重心の後方位などが挙げられます。
膝関節においては、股関節の内外旋の可動域が低下すると、本来、屈曲伸伸展が主の膝が代償して捻じれ膝となり疼痛が生じやすくなります。
また、足部においてもアブダクトリーツイストと呼ばれる前足部を支点として踵を内側にツイストする動きは、距骨外旋を生じ膝関節の過外旋を助長し膝蓋腱や膝蓋下脂肪体に疼痛を引き起こすきっかけになります。
その他にステップ③の他の隣接関節の評価・アプローチについて解説すると、肩関節でイメージしやすいかと思います。
皆さん、猫背になって肩を屈曲してみて下さい。すると大体120°程で制限が生じませんか?
これは図に示すように120°~180°に関しては、脊柱などの抗重力伸展活動が担う範囲になってくるためです。
よって、例えば肩関節120°屈曲時の疼痛においては、肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節だけをみるのではなく、脊柱や骨盤にも目を向けていく必要があります。
実施上の留意点
関節拘縮性の疼痛に対して有効であり、炎症や術後神経性疼痛、神経性由来の疼痛には注意が必要です。
⇒痛みの原因を評価して、用いましょう。
痛みを出している組織が違う可能性や評価を間違えている可能性も含めた批判的吟味も重要です。
屈曲・伸展などの矢状面上での動きの他に外転・内転など前額面でも同様に用いることができます。
どこの関節でも考え方は一緒の為、各関節の組織を知っておく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、拘縮と疼痛除去の為のトランスレーション理論についての補足を行いました。理論を用いるのも重要ですが、その前にきちんとリスク管理についても評価していく必要があります。その上で上記ステップに沿って疼痛除去を図り、正常な関節運動が行えとよいかと思います。疼痛が生じるということは、その部位に何かしらの力学的ストレスが掛かっている為、その他の関節にも着目していく必要はあります。自分もまだまだ評価できていない部分も多くありますが、一緒に頑張っていきましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました。