セラピスト向け

認知症になると感情まで変わってしまうの…??

はじめに

こんにちは、taiです。

新年は、このブログを盛り上げられるように気合いを入れてアウトプットしていきたいと思います!

新年一発目のブログは、認知症になると感情まで変わってしまうのかというテーマでお話ししたいと思います。

今回、参考・引用させて頂く文献は「認知症高齢者における情動と認知の関係─MESE,MMSE検査,NPI-Qなどからの相関分析─」小池妙子.2017からとなります。著者は看護学科の方ですが、とても興味深くリハでも参考になると思いますので気になる方は是非原著をご確認下さい。

内容

初めにタイトルにあった、「認知症になると感情まで変わってしまうの??」に対する答えは…Noです!!つまり変わりません!!

では、認知症の症状から説明していきます。

認知症の症状は大きく①中核症状②周辺症状の二つに分けられます。(下図参照)

①中核症状とは、認知機能障害のことで、物忘れなどの記憶障害や道具の使い方が分からない失行、計画通りに動けない遂行機能障害など、前頭葉症状を中心とした症状を指します。

また、②周辺症状とは、大脳新皮質の機能が低下すると感情が前面に出て、怒り、興奮、不安など大脳辺縁系に関連した感情が直截的にBPSD(Behavioral Psychological Symptoms of Dementia認知症心理行動障害、行動心理学兆候;以下BPSDとする)として現われます。家族も含め介護者はBPSDが現れる要介護高齢者とBPSDをもたない人に比べ、違った負担を抱えていることが指摘されています。

 

今回の研究の結果では、認知症者と非認知症者に 4 感情(怒り、喜び、リラックス、悲しみ)と認知機能を図るスケールであるMMSEとを比較した結果、病気の進行度と感情レベルとの間に明確な相関関係は認められませんでした。つまり、正常人と全く違う感情に変貌していないことを指摘していました。

上記の図は認知症によって変化する脳の機能変化をイメージしたものです。

認知機能は知識や理性など社会常識に沿った行動をとる機能です。対して、情動機能は情熱や感情など理性では抑制できない本能に基づく行動をとらせる機能となります。

健常者では、大脳皮質により情動機能に対して感情をコントロールすることができます(例:お腹が減ったけどまだ、仕事中だから我慢しようなど)。

しかし、認知症は大脳皮質の萎縮や変性により記憶障害や高次脳機能障害のために感情がコントロールできず社会生活に支障をきたしてしまいます。そのために、心理行動障害を生じ、介護負担感が増大し、悪循環を繰り返すとされてきました。

また、古皮質に位置する大脳辺縁系の働きは情緒的記憶に関与しています。そして、人間的な感じる心を司る扁桃体には五感のすべての情報が集中する神経回路が連絡しており、快感回路なども含まれ視床下部との連絡回路とも発達している為、認知機能が低下しても、悲しむ、寂しがる、不安がる、笑うことができることから、以前から指摘されているように「認知症になっても心は健全」、「もの忘れがあっても感情は最後まで残っている」と推察されると述べられています。

以上のことより中核症状は、改善を図ることが難しいですが、周辺症状は私たちが改善を図る余地があります。よく病棟でも、易怒的なケースでは職員や他患者さんとトラブルになることがありますが、怒るには、原因があります。その原因(痛みや不安など)を取り除くことで、安心感が得られ表情が和らいだり、言動が緩和することも良く臨床ではあるかと思います。やみくもに「だめです」等の❝知❞に働きかけるとかえって周辺症状を助長させることになりますので❝情❞ に働きかけるように対応していけるとよいかと思います。

 

まとめ

今回は、認知症の方は感情まで変わってしまうか?についてお話ししました。暴力や暴言などの周辺症状については、職員においても嫌な気持ちになりやすいと思いますが上記の点を考慮し、❝情❞に働きかけるようにすると良好な関係を築くことができる可能性があります。もちろん、中核症状がある為、重症度によってはすぐに忘れてしまったりするかもしれませんが、チームで対応したり、必要に応じてドクターにも相談し内服も調整していくことも重要です。関わるスタッフ全体で接していけるとよいかと思います。

 

いかがだったでしょうか?少し話は変わりますが、病院では、多くの人手がありフォローできる体制が整っていますが、在宅の場合はそうはいきません。特に訪問リハに出られている先生なら分かるかと思いますが、在宅ではご家族の介護負担にも目を向けていく必要はあります。いつもと違う雰囲気であったり、不満などの発言があった場合には、利用者様の状態変化はもちろん、ケアマネジャーへの報告やサービスの検討、主治医への報告書など多角的に検討していく必要があります。在宅においても、ご家族様だけで抱え込まないように多職種連携を図りながら支援してるようにできればと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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