こんにちはtaiです。
今回は寝返り動作について、見るべきポイントと臨床での活用法をお伝えしたいと思います。寝返りのパターンには頭部や上肢から先行するパターンや下肢から先行するパターンなど種類があります。今回は、治療としても用いる頭部から動いていくパターンをお伝えしたいと思います。
参考文献は「臨床動作分析」と「患者さんの主観的体感とリハ治療」です。私見も含まれていますので気になる方は本書をご確認下さい。
「患者さんの主観的体感とリハ治療」は冨田先生と脳卒中の当事者かつPTの小林先生がコラボした本です。内容としては、冨田先生の治療をどのように患者さんは体感するのかを小林先生の体を通じて文書化されたものになります。特にこの本の良いところは実際の治療風景をQRコードを読み取ってスマートフォンで動画として視聴でき、臨床に活かしやすい点です!!是非、個人的には必読してほしい書籍です。
見るべきポイント
大別すると上記のような4つになります。今回は、左片麻痺と想定して非麻痺側への寝返り動作を概説していきたいと思います。
1.背臥位で腰背部の過剰な固定がなく、脱力位が取れているか。
初めに腰背部や麻痺側上下肢含めた全身の過緊張がなく、脱力位になれているか評価しましょう。脱力位といっても弛緩しているのも良しというわけではなく、適切な筋緊張で構えが行えている状態をいいます。詳しくは、また後日ブログで書いていきますのでまずは過緊張が生じている個所がないか、確認して下さい。注目箇所としては、頸部の過伸展、肩甲骨外転、腰背部の伸展(反り腰)です。 過緊張がある場合は、できるだけ全面接触するようにタオルを使用しましょう。そうすることで過緊張している部位の過剰な固定が軽減し、全身が連動して動きやすい状態なります。ちなみに…以前ブログでも深呼吸を実践してみよう!!でお伝えした深呼吸でも過緊張は軽減できますので良ければ確認してみて下さい!
2.顎が引けて頭部挙上できているか。
初めに寝返りする際のスペースを上肢で作っておきます。そうすることでカウンターウェイトとしてのつり合いをとりやすくなります。動き始めに重要なのが頭部挙上です。きちんと頭部挙上が行われることで体幹の屈曲・回旋の主動作筋である腹部が働きやすくなります。注意点として、頚椎は屈曲できていても上位頚椎が伸展し顎が出た状態での頭部挙上は背筋が促通されるため、必ず顎が引ける上位頚椎からの屈曲を確認しましょう。
3.移動側の肩甲帯が前方突出・外転できているか。
その後、頭部挙上に追従するように移動側肩甲骨の前方突出が行えるか確認しましょう。後述する非効率なパターンでは床を押そうと肩甲骨が下制・内転してしまい運動が逆方向に出現してしまい、結果として介助を要したりベッド柵を支持して努力的に動作を遂行することになってしまいます。特に脳卒中の方で多くみられ随意性が低い方は,必ず麻痺側上肢を腹側において肩甲骨の前方突出が行いやすいようにポジショニングしておきましょう。また、肩甲骨の動きに伴い胸郭が回旋していきますが、体幹の可動域制限がある場合は柔軟性を出していく必要があります。
4.肩甲骨の動きに追従するように骨盤の回旋が行えているか。
前鋸筋を使用した肩甲骨前方突出により腹斜筋へと連動して胸郭の回旋が行われます(今回の場合、左前鋸筋⇒左外腹斜筋⇒右内腹斜筋で上半身の右回旋)。その動きに追従するように骨盤が回旋してこれるかを評価しましょう。今回の場合だと左内腹斜筋や右の外腹斜筋などが働くことで骨盤が右回旋しやすくなります(この左右の腹斜筋のラインは起き上がりにも非常に重要なのでしっかりイメージしておきましょう)。同様に下に位置する胸郭がタオルなどで知覚しやすくなると安定性が向上し動作が行いやすくなる場合もあります。
【非効率なパターンor寝返りができないパターンの一例】
基本的に上記で説明したポイントと逆方向の運動は非効率で自立できないことも多いです。図にあるように①頭部が伸展位、②肩甲骨が下制・内転してしまう、③腰背部の過緊張が生じている(反り腰)④移動させる下肢が床を押しているなどが挙げられます。
これらの動作がみられるケースでは、必ず起立や立位動作でも同様の現象が生じており、転倒リスクや動作の非効率性を高めてしまう恐れがあります。また、これらの押しつけてしまう動作は脳卒中の方に多くみられる腰痛に繋がることが多く、逆を言えばこれらが改善すれば腰痛を改善することができます。私が担当したケースでも、歩行時の非麻痺側側の腰部(特に腸肋筋)に疼痛がありましたが、上記の動作を練習し腹部を働きやすくすることで背部の緊張が軽減し腰痛も減少した方もいます!
いかがだったでしょうか。臨床上、寝返り動作練習を行う頻度は決して多くないのではないでしょうか?それは、①様々なパターンがあり非効率だとしてもできている、②着目するポイントや介入の仕方が分からないといったことがあるのではないでしょうか?今回は特に評価の動作上のポイントをお伝えしました。まずは、上記の視点で寝返り動作が評価できるように一緒に頑張っていきましょう!