セラピスト向け

若手必見!挙上時QLS由来の肩外側部痛の症例報告:具体的な臨床推論とは?

はじめに

こんにちは、taiです。

本日は、以前患者さん・ご家族向けに書いたブログ試す価値あり!肩を挙げた際の肩外側の痛みに対する方法

でもご紹介したQuadrilateral Space=QLS由来の肩外側の疼痛を有した患者さんを担当したのでまとめておきたいと思います。

特に、若手のセラピストは肩外側の痛みに対して、三角筋等をダイレクトにマッサージやストレッチをすることも多いかもしれません。

是非、解剖を知っておくとアプローチの選択肢が増えると思いますのでご一読下さい。

内容

関節拘縮由来の疼痛除去の考え方

以下、症例報告になります。

疾患

頚椎不全損傷(発症4M程経過)※転倒し受傷

介入前評価

主訴「右肩を挙げると痛い」

ROM-t:肩屈曲80°位より肩外側(三角筋辺り:C5レベル)に疼痛出現※下図デルマトーム参照

触診:広背筋や大円筋spasmあり

問題点

肩外側部:C5レベルでの屈曲時痛、大円筋等のspasmよりQuadrilateral Space[小円筋、大円筋、上腕三頭筋、上腕骨の区画]での腋窩神経の絞扼を疑いました。

腋窩神経とは、下図に示す肩甲骨の後面にある赤丸で囲まれた箇所を通る神経で、見ての通り筋肉に囲まれたこの狭い部分を通っています。

QLSのエリア

介入※5-10分

広背筋・大円筋のダイレクトストレッチを実施し屈曲時痛軽減するも90°程で疼痛が軽度出現しました。

実際のアプローチ法としては、硬くなった筋肉をほぐすことでこのスペースを広げて腋窩神経の圧迫をとってあげることで軽減が図れます。

具体的なセルフエクササイズとしては、下図に示す脇のくぼみを親指等でつまんで前後にマッサージを行ってみて下さい。

20-30秒ほどマッサージをしてみて肩を挙げてみて下さい。

このマッサージにより肩の痛みが軽減した場合は、腋窩神経の圧迫が問題であったと推測されます。

tai
逆にこのマッサージで良くならない場合は、違う問題が関与している可能性があります。

アプローチするポイント

肩屈曲時に肩甲骨の可動性低下しており、肩甲胸郭関節の可動性低下による、肩甲上腕関節の過活動と推測し肩甲骨のmobilization実施し、120°まで疼痛なく可動域改善しました。

なぜ上記のように推論したのかというと、90°でまだ疼痛が残存しており、下図に示す120°までは肩甲胸郭関節が関与し、更に肩甲骨を触診し健側に比べ可動性が低下していたのでアプローチを行いました。

肩屈曲に必要な構成要素

介入後評価

疼痛なく肩屈曲120°まで改善し、自主トレで大円筋のダイレクトストレッチと肩甲骨の柔軟体操を指導しました。

結果・考察

肩外側部痛に対して、QLSでの腋窩神経の絞扼は要因として高く、治療後の疼痛軽減より上記が問題点であったと考えられました。もし、上記でなければ三角筋の滑走性の問題や広背筋等の硬い伸展筋のtightnessによるobligate transrration理論における上腕骨頭の上方偏移、肩峰下インピンジも推察していく必要があります。

※obligate transrration理論についてのブログは関節拘縮由来の疼痛除去の考え方をご参照ください。

予後予測

自主トレにて疼痛軽減は図れるかと思われ、肩甲胸郭関節の可動性は次回評価していく必要性があります。また、肩屈曲120°以上での構成要素である体幹の安定性向上にも配慮していく必要があります。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回は、QLS由来の肩外側の痛みについて、症例報告を行いました。みなさんの担当する方でも類似した症例がいらっしゃるの場合は、是非評価・介入を行ってみて下さいね。もちろん、改善しない場合は、アプローチする場所が違っていたり、そもそもQLS由来の痛みではない可能性もあります。常に批判的吟味を考慮しながら実施してみて下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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