はじめに
こんにちは、taiです。
今回は前回の続きである、感覚障害のある身体でも知覚できる?Part1、感覚障害のある身体でも知覚できる?Part2、感覚障害のある身体でも知覚できる?Part3、
感覚障害のある身体でも知覚できる?Part4~臨床実践:ダイナミックタッチ編~の続きとなりますので是非、前回のブログをご確認頂ければ幸いです。
本日は、臨床で実際にどのように用いて、感覚障害にアプローチしていくのかを私見中心になりますがお伝えしていきたいと思います。
富田昌夫先生の理論を用いたものですので、正確な知見は本書の臨床動作分析の確認をお願い致します。
内容
繰り返し記載しますが、何度も確認することで、意味も定着が図れればよいかと思います。※なかなか聞きなれないワードやイメージがしずらいものも多いので自分の復習の為にも記載します!
知覚するために重要なのが能動的に動く(探索する)こと=アクティブタッチ(能動的触知覚)です。触ったり、握ったり、荷重をかけたりと動作をすることによって、自分の置かれた環境を知覚することができるわけです。ここでいう能動的に動く(探索する)こととは、他動的な動作でも意識・注意を対象物に向けることで同様に知覚することができるということが重要となります!
具体的な方略としてダイナミックタッチ(運動性触圧覚)やリモートタッチ(遠隔地触知覚)があります。(図参照)
ダイナミックタッチは身体を揺すったり・振ったりすることにより基礎定位(身体感覚の獲得)のための方略であり、学習、時間、感覚も関係なく動かすことによって知覚できるためのシステムです。(下図参照)リモートタッチはダイナミックタッチを基礎として持った上で環境にある情報(アフォーダンス)を触覚的側面から抽出する方略です(反力や接触から発生する音など)。この知覚の精度を上げるには学習や練習が必要であり、経験の積み重ねが重要です。
以上が、感覚障害を有していても知覚できる原理になります。
今回は、リモートタッチについて実際の臨床場面での一例:麻痺側下肢への荷重練習をお伝えしたいと思います。何気なく行ってしまいがちな練習ですが、リモートタッチの理論を意識して実施することで、今この患者さんに何が足りないのか、どのような環境を提供してあげればよいのかが整理して考えられるようになると思います!※自分はそうでした!!
~臨床実践:リモートタッチ編~
上記で述べたようにリモートタッチには、運動学習が必要となります。
脳卒中者の立位時の麻痺側へ荷重練習では、反復して練習していくことで少しずつ麻痺側下肢へ支持できるようになってくる経験があるかと思います。
これは麻痺で動かなくなってしまった下肢のおいても、反復して荷重していくことで床面からの荷重感覚が知覚できたことによるリモートタッチが背景にあると思います。
その際、重要なポイントとして①随意性や感覚障害で膝折れが生じる等の場合は装具で適切なアライメントにする、②不安・恐怖心から過度な過緊張が生じないように、初期では平行棒内などで実施する、などの知覚しやすい環境を提供してあげるのがとても重要です。
今回、脳卒中者でお話ししましたが、整形疾患でも同様のことが言えるかと思います。
特に足底面の痺れや、変形などによるアライメント不良により、不良姿勢が学習しやすくなります。また、疼痛を中心にした防御性収縮などで過緊張を生じやすく、脱力位となることが難しい場合もあります。
その際も、まずはダイナミックタッチで動きのないところを揺すったりして動かすことで身体感覚の再獲得を図ります。その後、過緊張を生じないように環境調整を行った上でリモートタッチを取り入れるのがよいかと思います。
脊柱管狭窄症などで足底に痺れなどの感覚障害がある場合は、リモートタッチの特性を考慮すると裸足で立位練習を実施するのも知覚しやすいかもしれませんし、併せて靴でも同様に床反力などを探索しバランス能力や支持性の改善を図ってもよいと思います。※軽症の方は反対にバランスディスク上での探索も難易度があがり良いかもしれません。注意点としては難易度が増加する為、全身の過緊張の増加に配慮する必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?本日はリモートタッチの臨床での実践例を私見を中心に記載致しました。何気なくいつも靴を履いた状態で実施している練習でも、靴や靴下を介したリモートタッチと言えます。下肢での練習では様々な足底の環境で実施するのもとても大切ですね。
本書でもありましたが、セラピストのアプローチは動きのないところにいかに能動的な探索活動ができるようになるか誘導すること!と記載されており、リモートタッチが患者さんに気付きを与え運動学習を促進できるように、自分も頑張りたいなと思いました!
最後まで読んでいただきありがとうございました。