はじめに
こんにちは、taiです。
本日は、腰痛に関して最近勉強している為、腰痛を分類しながらできるだけ端的に機序・病態、評価・アプローチについてまとめて記載したいと思います。腰痛も種類がたくさんあり、区別に難渋する為、整理してお伝えしたいと思います!
内容
今回は、仙腸関節障害についてです。
疼痛の発生機序・病態
仙腸関節は後方が強靱結合されており可動域が小さい関節です。また、関節面は荷重線に対して垂直に近く、荷重に対して剪断力を生じやすい特徴があります。
➡よって中腰での作業など繰り返しの負荷で関節に微小なズレの発生し、その結果、運動制限等の機能障害や疼痛発生が生じます。
疼痛範囲は、多くは仙腸関節付近ですが、その他の下肢症状にも留意する必要があります。また、痛みに特異的な所見がX‐P、MRI、CT画像で得られないのも重要なポイントです。
※仙腸関節に分布する感覚枝の関節枝が刺激を受けて、仙腸関節部の疼痛および下肢に疼痛や痺れが生じるとの報告があり、仙腸関節障害は単なる腰痛疾患ではなく、腰痛および下肢症状を呈する疾患の一つとして念頭に置くべきともあります。
評価
①疼痛誘発テスト(Newtonテスト変法,Gaenslen テスト,Patrickテスト):仙腸関節に歪みを加えて疼痛 を誘発する手技。(図参照)
Newton テスト変法86%、Gaenslenテスト77%、 Patrickテスト68%で疼痛誘発あり、組み合わせて評価していく必要があります。
②下肢SLR テスト:仙腸関節部から 大腿後面の痛みが誘発され,挙上困難な例が ある。しかし坐骨神経痛と異なり、下腿後面に放散する例は少ないことが特徴です。
③One finger test:患者自身に疼痛の最も強い部位を 1本指で示させ仙腸関節付近(PSISやその腸骨側の近傍)を示せば、仙腸関節由来の疼痛に特異的な領域であると判断できます。他の腰痛であれば、一本指で示せず、広範囲で訴える場合が多いです。
④圧痛点 :PSIS,PSIS下方,PSIS内側,仙結節靱帯 の圧痛が比較的多いと言われており、また腸骨筋部に圧痛を伴う例が多いです.腸骨筋は上前腸骨棘を検者 の母指で確認し,その内上方で腸骨方向に向 けて奥に探っていくと触知できます(図参照)。
理学療法アプローチ
アプローチの考え方としては、荷重に対する仙腸関節に生じる剪断力を筋で適切に補う必要があります。仙腸関節の剪断力を補う前面筋としては内腹斜筋(特に横線維)があり後面筋としては大殿筋があります。また、これらを促通させる為には筋力強化以外に良肢位での座位や片脚立位で強化することができると考えます。
※アプローチに関しては、解剖学や運動学を考慮した私見を多く含みますので、適宜、成書をご確認ください。
まとめ
今回は、仙腸関節障害に関して、まとめてみました。特に他の腰痛と区別するためにも特異的な疼痛範囲や評価を理解しておく必要があります。きちんと評価することができれば、その後のアプローチも明確に行うことができると思いますので、整理して一緒に学びましょう。
いかがだったでしょうか?ちなみに、デュシャンヌ歩行をしている方は、側方動揺による仙腸関節障害が生じやすいと言われています。その場合は、仙腸関節障害だけをアプローチするのではなく、デュシャンヌ歩行に対してもアプローチをしないと改善しないので全体を捉えてアプローチを検討していきましょう
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考・引用文献:仙腸関節由来の疼痛:村上,2007、仙腸関節障害の治療経験,森本,2010