膝OAの診断
前回は膝OAの特徴について、膝OAの症状や、膝OAになる人のリスク要因が分かりました。
また早期介入に関しては、理学療法による効果があることから早期診断が重要になりそうです。
今回は、膝OAの診断について解説します。
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膝OAはどう診断される?
主に50歳以上、K-L分類、膝関節の疼痛症状、他疾患の除外により膝OAと診断されます。
診断の流れとして、まず問診やレントゲン撮影を行い、必要に応じてMRI検査を追加で行い診断します。
レントゲン検査では骨しか映らないため、骨や膝関節の隙間の状態を確認することはできますが、靭帯や軟骨などの軟部組織の状態を確認することができません。MRI検査では軟部組織の撮影が可能であるため、靭帯や軟骨、半月板など軟部組織の状態を確認することができます。
つまりMRI検査を追加で行う可能性がある人は、①膝OA以外の疾患が疑われる場合、②軽度の膝OAである場合となります。
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問診
問診では、主に膝の痛みなどの自覚症状の確認を行います。
また医師が触診を行い、膝関節の痛みや関節可動域、腫れ、変形、関節の不安定性などを調べます。
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レントゲン検査
膝OAのK-L分類の進行と、痛みをはじめとした症状の重さは一致しない場合もあります。
K-L分類と疼痛症状については「変形性膝関節症とは?」でも紹介致しましたが、K-L分類と症状についてまとめた表をご参照下さい。
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MRI検査
レントゲン検査による膝OAの病態進行は大変緩徐であり、レントゲンの関節裂隙狭小化により検出できる関節軟骨の摩耗は年間 0.1mm程度です。また、関節内で発生した病態や初期段階をとらえることも困難になっています。その課題の克服に向けた方策がMRI検査です。
MRI検査は、より現在の状態に近い詳細な関節内構造変化を現すとされ、レントゲンの弱点を補う可能性をがあります。1.5T以上の高磁場MRIを用いることで撮影が可能となり、軟骨変性に伴うマトリックスの変化や半月の変性や損傷、また軟骨下骨の変化も鋭敏にとらえることが可能となっています。
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他疾患の除外(リウマチ)
関節の変形が少なくても関節痛が強い場合があり、似た関節症状にリウマチがあります。
リウマチは、自分の免疫が自分の体を異物と錯覚して攻撃する自己免疫疾患の1つで、自分の免疫が関節を破壊してしまうという病気です。膝OAによる関節炎とは違い、関節表面を溶解するように破壊し、最終的には関節の癒着を起こして可動域を制限していきます。
リウマチの3つの特徴
確定診断は血液検査が必要ですが、簡易的な所見を紹介します。
①手指の関節の腫れや炎症
リウマチは手の指などの小さな関節の腫れや炎症から起こります。初期に起こる関節は、指の第二関節(PIP関節)、MCP関節、手首です。指の第一関節(DIP関節)はリウマチでの破壊は起こりにくいとされています。第一関節の腫れや炎症は、変形性膝関節症と同じで関節の変形であることが多いです。
②1時間以上続く起床時のこわばり
手指の関節や破壊が起こっている関節が朝起きる時に固まり動かすことができない状態です。1時間以上続くもので、10~20分という短い時間ではありません。
③左右対称の関節の炎症と腫れ
リウマチでは関節の腫れや炎症は左右対称です。変形性膝関節症のように「痛いのは右の膝」などの左右での偏りはありません。
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膝OAの診断についての説明は以上です。
次回は「膝OAの理学療法(リハビリ)」について紹介したいと思います。
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