変形性膝関節症の特徴について
前回は、変形性関節症について紹介しました。
変形性関節症は、遺伝・加齢・力学的ストレス・炎症性変化によって関節の軟骨と軟骨下骨が変形していく疾患でした。
また、ゆるやかな進行性の疾患ではありますが、外傷などストレスをきっかけに急速に症状が進行します。
変形性関節症の発症しやすい関節は、膝、股、腰、首などの体重を支える関節になります。
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そこで今回は「膝」に着目して、
変形性膝関節症の特徴を紹介したいと思います。
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変形性膝関節症ってどんな病気?
膝OAの特徴
臨床現場では、変形性膝関節症のこと「膝OA(ひざオーエー)」と呼んでいます。
膝OAは、「膝」の関節軟骨と軟骨下骨の進行性退行変性が慢性的に生じる状態をいいます。
主な症状として、症状初期は立ち上がりや歩き始めの動作開始時の痛みが特徴的で、中期より正座や階段の上り降りが困難となります。末期には安静でも痛く、関節の変化が目立ち、膝が伸びにくくなり、歩くのが困難になります。
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膝OAの分類
K-L分類は、X線画像にて、骨棘形成、関節裂隙狭小化、軟骨下骨の骨硬化像により、重症度判定する評価方法で、grade0は正常、grade1は疑い、grade2は軽症、grade3は中等度、grade4は重症に分類されます。
変形=痛みと捉えてしまいがちですが、関節軟骨には痛みを感じる神経がないため、関節変形があっても軽症の場合には痛みを感じないことが多くあります。しかし、重症になり軟骨下骨の変性があると体重をかける時の痛みが感じやすくなります。
また、同じような関節症状にリウマチがあり、関節の変形が少なくても関節痛が強い場合があります。血液などを用いた検査により鑑別が必要になります。
→「膝OAとリウマチの違い」はこちらの記事を参照
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膝OAの疫学
X線検査により60歳以上では9.6%の男性、18%の女性に症状のある膝OAが確認されています。
65歳以上では加齢とともに発症する率が増加し、65歳以上の人口の80%に発症しているとされています。
膝OAは高齢者のほとんどが有する疾患になります。
膝OAの初期症状の場合、理学療法によって膝の痛みや日常生活を回復することが可能です。また、運動や生活の工夫をすることで症状進行を大きく遅らせることができるため、できるだけ早めの診断や専門家の意見を得ることが勧められています。
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どんな人が膝OAになる?
リスク因子として、加齢、性別(女性)、大腿四頭筋筋力低下がある、半月板・靭帯の損傷がある、肥満(BMIの増加・体重変化)、骨密度の低下、重労働やスポーツ活動、エストロゲン減少、抑うつ状態があげられています。
以上の特徴を持つ人は、膝へのストレスを受けやすい人であり、これらを軽減させる必要があります。
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自身で変形性膝関節症をチェックする方法はある?
変形性膝関節症に関わらず、膝の健康になんらかの問題が起こっている状態かを確認する方法があります。
以下の自己チェックを行い、どの番号にチェックが付いたか確認してみましょう。
番号1~3にチェック
半月板という膝の軟骨が断裂したときにある症状です。
番号4~7にチェック
変形性膝関節症と診断されることが多い症状です。
番号8~10にチェック
膝の中に水がたまっている可能性があります。これは変形性膝関節症や関節リウマチの典型的な症状です。
番号11~12にチェック
膝の靱帯が切れている可能性があります。膝蓋骨亜脱臼や膝不安定状態のときによく見られる症状です。
また、膝の動きの悪い場合や痛みの強い場合は、医師や理学療法士への相談を勧めます。
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変形性膝関節症(膝OA)の大まかな説明は以上です。
次回は「膝OAの診断」について紹介したいと思います。
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