セラピスト向け

運動学習を臨床で生かす方法(Step10:練習条件)

本日は運動学習を臨床で生かすための方法『STEP10:練習条件』について解説したいと思います。

運動学習を生かすための方法
『練習条件』

要点のまとめ

練習方法について

特異的効果:限りなく目的とする運動スキルに近い形で課題を行うことで得られる効果
多様練習:保持を促進する.目的動作と関連付けた,異なる多くのパターンを練習すること(ランダム練習)で効果が高い
学習段階に合わせた練習が有効:認知→反復練習,統合→多様練習,自動化→過剰練習
初期でのランダム構成:ブロック構成ほど技術が身につかないが,保持においては技術が身につく
分散練習:集中練習よりも即時的な効果がある
・初期では部分練習,学習が進めば全体練習が効果的である

さいごに

『練習条件について』

臨床において,目的とした動作の向上や,機能の向上にはどんな練習をどのように行えば良いでしょうか?

特異性を活かす

課題特異的効果を得るには,限りなく目的とする運動スキルに近い形で課題を行う必要がある

目的に近い課題を考えて,練習メニューを決めましょう

単調練習 VS 多様練習

1 つのバリエーションだけを練習する一定練習と比較して,多様練習は保持を促進する(Schmidt 1991)

-例-

目的:歩行時の転倒リスクを最小限にしたい
問題点:右立脚期の動揺あり
問題提起:A.単調練習と,B.多様練習どちらの練習を行いますか?

理想はどれだけ影響を受けようと、基本となる構成要素は崩れないこと。
そのためにはバリエーションが必要です!

■多様練習の種類

①ディファレンシャル学習
・1つの動作に対して様々な変化を与える学習のこと(異なる地面、異なる重量など)

②ランダム学習
・1つのセッションの中で、異なる多くの動作パターンに様々な変化を与え学習

ランダム学習の方が,学習効果が高いとのことだが,目的動作と関連づけられているかが重要です

■学習段階に合わせる

①認知段階では反復練習
→獲得したい運動スキルを反復することでフォームを安定させる

②統合段階では多様練習
→反復練習で獲得した運動スキルを,ADLで要求される様々な条件下で出力できるように変化させる(バリエーション)※二重課題練習などが有効

③自動化段階では過剰練習
→安定した状態に達した後,さらに練習を反復することで新規の運動スキルを定着させること

ブロック構成 VS ランダム構成

ランダム構成は,練習ではブロック構成ほど技術は身につかないが,保持においては技術が身についており,実際に役に立つ練習である

集中練習 VS 分散練習

・即時的なパフォーマンス変化は、分散練習の方が効果的
・学習効果(保持)はどちらも差はない

臨床においては,必要回数を分散練習で休憩を取りながら行う方が良さそうです。 しかし,休憩中に類以動作を練習してしまうことで負の転移が起こってしまうかもしれないので注意しましょう

全体練習 VS 部分練習

・運動学習の初期段階では部分練習が適している
・学習が進むにつれて全体練習が効果的であると言われている

■さいごに

運動学習を臨床で生かす方法として『練習条件』について解説しました。

・まずは,目的の動作は何かを知ること
・つぎに,目的の動作に近い課題を考え,異なる多くのパターンを練習すること
・練習では,休憩を挟むことが大事でした
・学習時期に合わせて,部分練習と全体練習を使い分けて運動学習を進めましょう😊

次回は、運動学習を臨床で生かす方法の『まとめ』をしていきます。

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