目次
1.モチベーション
・・・モチベーションとは
・・・モチベーションの効果
・・・モチベーションの分類
・・・外発的動機づけ(報酬・称賛)の使いどころ
2.モチベーションの高め方
・・・①報酬の設定
・・・②目標の難易度設定
・・・③目標の設定
3.アンダーマイニング効果
・・・アンダーマイニング効果とは
・・・動機づけには適度なバランスがある
4.実際にどう活用するか?
・・・内発的動機付け(楽しい・満足感)が低い場合
・・・内発的動機付け(楽しい・満足感)が高い場合
1.モチベーション
■モチベーションとは
『モチベーションとは、人間に行動を起こさせ、その行動を維持して、ある一定の方向に向かわせる心的過程』
と定義されています。
■モチベーションの効果
モチベーションは、スポーツパフォーマンス、姿勢制御、QOLに影響がある
と報告がある。
■モチベーションの分類
外発的動機づけ:外的な報酬を得ようとして運動のモチベーションが上がる
例)運動すると → 賞金、称賛 がある内発的動機づけ:運動をすること自体が報酬(賞金や称賛が得られなくても、自分のためにする)
例)運動すると → 喜び・楽しい、満足感・充実感 がある
■外発的動機づけ(報酬・称賛)の使いどころ
『内発的動機づけが低い場合に、運動のキッカケを作る』
2.モチベーションの高め方
①報酬の設定
『報酬の価値観は人によって違う』
『学習者にとって何が報酬になるかを考える』
例)怠けたサルがどうしたら木に登るか?
→お金?
→バナナ?
例)あなたが1ヶ月で15㎏ダイエットをするなら?
→ボーナス1千万
→休暇1年分
→5億円のダイヤ(換金なし)
②目標の難易度設定(その1)
『行動は報酬そのものではない。報酬に対する期待と結果の誤差によって決まる』
②目標の難易度設定(その2)
『運動課題・達成目標は進捗に応じて更新していくこと』
③目標の設定
『本人(または他人)が決めた、具体的な目標がよい』
ここで問題です!
問)射的で的に当てる課題があった場合、点数が高かったのはどれ?
①第三者から「ベストを尽くせ!」といわれる
②学習者自信が決めた点数を目標
③第三者が決めた点数を目標
3.アンダーマイニング効果
■アンダーマイニング効果とは
『外的報酬(褒める)が内発的動機づけ(楽しみ・満足感)を低下させる』
の効果がある
例えば・・・
『褒めないと動かなくなる』
『退院後、褒めていたセラピストがいなくなると自主練を行わなくなる』
予防するには・・・
『結果のフィードバックを用いた教育を行い、運動が必要であることを実感させる』
『自分のためになっていることを示して、自分が行ったからできる自己効力感とを実感させる』
■動機づけには適度なバランスがある
『外的動機づけ(報酬)と内発的動機づけ(楽しみ・満足感)の適度なバランスを保つ必要がある』
『運動の継続は、内的動機づけ(楽しみ・満足感)だけでの継続は困難である』
3.実際の方法
■『内発的動機づけが高い』場合
『内発的動機づけが高い』とき、外発的動機づけは控えめにする
実際の例)
「すごく頑張ってますね!」や「偉い~!」などの声かけを過剰にしない
■『内発的動機づけが低い』場合
『内発的動機づけが低い』とき、 外発的動機づけを多め にする
実際の例)
・セラピストからは「これが出来たら今日のリハは終わりですよ!」などの報酬を用意する。
・対象者自身も「リハが終わったら寝よう!」などの報酬を用意する。
本日のまとめ
運動学習を高める方法として『モチベーション(動機付け)』について解説しました。
・基本的に運動継続のため、内発的動機づけ(楽しみ・満足感等)を増やす必要があります。
・運動継続の過程として、外発的動機づけ(報酬・称賛)をうまく活用することがセラピストの腕の見せ所になりそうです。
・今の患者さんの状態・時期を見極めて、適度な報酬や目標・課題を設定しましょう。
【今後の予定】
・運動学習を高める方法は他にもあります。①モチベーション(動機づけ)、②教示と口頭指示、③運動イメージ、④フィードバック、⑤転移、⑥注意と記憶、⑦練習の条件などです。
・次回は、『教示と運動イメージ』を解説したいと思います。