セラピスト向け

赤ちゃんの発達段階から学ぶ、歩行までの関節の安定化(STEP1:DNSアプローチをなぜ用いるのか)

早く歩行させたい。まだ歩く許可がでていない。まだ歩く段階ではない。
歩くまでに獲得させたい動作はあるの?動作に比較する正常はあるの?
赤ちゃんの発達段階を参考にしてみてはどうだろう💡

  

発達段階…そこで…

【DNS:Dynamic Neuromuscular Stabilization】

・DNSとは、日本語にすると、動的神経筋安定化・発達運動学的アプローチです。
・運動発達学に基づいた、『腹腔内圧の調節』『深部脊柱安定筋の活性化』による機能的安定性を基礎とした身体の運動基礎理論であるとされています。

  

 

STEP 1:
運動発達学に基づいたDNSをなぜ治療として用いるのか?

 

なぜ発達段階を用いるのか?


・機能的な『正常』を定義することができる。
・機能的な『動作を獲得するために必要なこと』が理解できる。

  

筋骨格系医学治療においての2つの治療方法がある


1)『構造』にアプローチ
解剖学と力学に基づく。
・評価ではレントゲン、MRIなどの構造の可視化に依存する。
・主な治療は『病態』に対して行う。

2)『機能』にアプローチ
・構造的損傷の診断基準だけでは症状が改善しない例に行う。
・病態に焦点を当てず、病態の『原因』について考える。

POINT:
2つの考え方を分けて治療することはできませんが…
『構造』と『機能』は別々に存在するため、それぞれに合った治療を行う必要があります。

 

正常をどう判断するか?

『解剖学的な正常』は定義があるが、『機能的な正常』は明確に定義されていない

  

  

理想的な
『機能的な正常』
を考えよう

  

1)赤ちゃんの発達段階と患者さんをリンクさせ、比較する


例えば「中枢神経損傷の患者さん」であれば…
➡中枢神経の損傷
➡筋パターンに影響
➡関節位置が変形
➡形態学的な発達を阻害する

これは、新生児(発展途上の神経機構)の筋緊張パターンと、患者さんの筋緊張パターンは似ており、リンクし比較することで「機能的な正常」を知ることができる。

 

つまり…
発達段階とは「①中枢神経の成熟」➡「②筋機能」➡「③関節の安定化」を辿ることであり、患者さんは①-③過程のどの段階にいるのかを考え、リンクさせ、次の段階はどこかを選択し、治療を行うことになる。

  

  

2)中枢神経の成熟の3段階


脊髄と脳幹レベル(新生児)
➡原始反射で活動
皮質下レベル(生後1年)
➡原始反射の抑制、基本的な矢状面の安定化、姿勢移動パターンの成熟
皮質レベル(2-4歳)
➡認知機能、運動の巧緻性の向上

  

  

3)①中枢神経の成熟➡②筋機能➡③関節の安定化


①中枢神経系の成熟
・中枢神経系の『成熟レベル』『運動レベル』一致する。

②筋機能
・筋機能とは『主動筋・拮抗筋の協調的な共同収縮』である。
・中枢神経系の機能が正常な差異のみ可能。
・構造の発達に不可欠。

③関節の安定化(中心化)
・関節の安定化は『筋機能』『局所・遠位筋群の協調性』が確立することに依存する。
『筋の協調性の質』は、関節機能に必須である。

  

  

発達段階は『①中枢神経の成熟』➡『②筋機能』➡『③関節の安定化』となります。
歩行するまでのやることは、赤ちゃんの発達段階に合わせた『神経系』『筋機能』『寝返り、起き上がり』など、歩行するまでの前段階の動きが関係してきそうですね。
次回『STEP2:評価』につづきます!

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