セラピスト向け

行動変容-自分や患者の習慣を変えるメカニズム-

運動の習慣をつけよう、禁煙をしよう、間食をやめよう、ダイエットしよう、宿題をはやく終わらせよう…
本当はしなければならないと頭では分かってけれど、なかなか習慣(行動)に移せないって思うことはありませんか?
そこで、習慣(行動)を変えるためには段階があるの?
どのような働きかけが必要なの?
そんな内容をまとめてみました💡

  

【行動変容のポイント】

介入として行う行動変容には、
対象者の行動を変えようとする意図があらかじめ存在し、
行動変容を生じさせるための働きかけがあり、
人の行動が変わっていくこと意味する。

 

【行動変容とは】

自身あるいは指導を行う対象に関わらず、人の行動が変わっていくという意味。
ここでは主に、健康の保持増進、健康回復のために、行動・ライフスタイルを望ましいものに修正・習慣化することを目的とします。

  

【行動変容の歴史】

1940~50年代:

知識の普及は好ましい態度を作り、習慣づけられると考えられていた。

1970年代:

知識だけでは行動変容は起きないことから、個人の心理的側面や価値観に着目された。

1)ヘルスビリーフ・モデル(Health Belief Model)

➡以下2つの条件を満たすと健康行動を促進することを示した。

①健康に対する危機感を抱くこと

②健康行動をとることのマイナス面よりプラス面が大きいと感じること

  

  

2)社会的認知理論

➡以下2つがあると行動を起こしやすいことを示した。

①その行動は望ましい結果をもたらす(結果の期待)

②その行動をうまくやれる自信(自己効力感:セルフエフィカシー)

  

➡また「自己効力感」を高める以下4つにアプローチすることが望ましいとされている

①自己の成功体験:過去の成功の体験

②代理的経験:他人の失敗や成功の観察

③言語的説得:自分に能力があることを指導者から言語で受ける

④生理的・情動的状態:能力・機能について身体で感じ取りそれらの情報から自分が上達したことを感じ取る

1980~90年代:

行動を変えるための資源や現実するための技術・周囲の支援に着目する。

トランセオレティカル・モデル(TTM)

➡患者の現在の実践ステージに応じてアプローチ変えていく必要性を示した。

現在:

個人のQOL(生活の質)への学習援助。

➡医療者-患者関係は、医療者が指導し、患者が教えられるという関係ではなく、患者自身が力を強化する支援を行うこと。主役は患者であり、医療者の役割は患者の能力を引き出し、患者自身ができる気持ちを抱き、問題解決のための自己決定、自己管理能力を支援することにある。

➡医療者が患者の「行動」を「変容させる」のではなく、患者が自らの考えで「行動」を「変容」することが重要であり、医療者は「変容」することを支援する。

  

   

【TTMの活用方法】

現在も、行動変容のため幅広く活用されている理論。

相手の心の状態や実践の程度(各ステージ)に応じて、働きかけ(介入)を変えていくことで効果を高める方法の一つである。

図 「TTMの概念」文献1より引用

以下、利得=メリット、コスト=デメリットとする

  

【行動変容ステージ(5段階)】※図参照

①前熟考ステージ ➡行動する意思が全くない

②熟考ステージ ➡問題があることに気づき行動するが意思が芽生えるが、行動はしていない。6カ月以内に行動を変えようと思っている。

③準備ステージ ➡1か月以内に行動を変えようと思っている。

④実行ステージ ➡問題を解決するための効果的な行動を実行して6カ月以内。※運動を行って得られる恩恵(メリット)が少ないので逆戻りの危険性が最も高い

⑤維持ステージ ➡行動を変えてから6カ月以上継続できている。患者は問題の再発を予防し、維持、安定させる段階。※運動を行って得られる恩恵(メリット)を認識するが、まだ逆戻りする誘惑がある

     

【医療者が行う患者への介入】

現在の患者のステージを次のステージに移動する働きかけをする行動療法を活用する。

前半:知識や感情など認知への戦略(やる気)

後半:褒美、反射条件付け、刺激コントロールなどの行動への戦略(継続)

※STEP2にて詳しく解説します。

・行動変容の初期段階では、行動を起こすことのメリットよりデメリットが上回ります。熟考ステージでは同等、それ以降はメリットがデメリットを上回り、行動変容が促進されます。(図参照)

・TTMは、禁煙、ダイエット、糖尿病をはじめとする慢性疾患で多く活用されていますが、運動習慣へのアプローチとしても注目を浴びています。

 
次回:各ステージでのアプローチ内容をチェックしてみよう💡
 

  

習慣(行動)を変えるためには、知識は大事な事ではありますが、知識を与えるだけでは変えられないことが分かりました。
まず、①健康に対する危機感を持つこと、②行動が望ましい結果(メリット)をもたらすこと、③自己効力感へのアプローチが行動を起こすキッカケに作用するみたいです。

また、これらの「習慣づけ」は一人で達成することは困難です。
指導者や協力者がいると「逆戻り」を予防し、習慣化することが可能となります。

効果的な介入方法として、TTMでは、各ステージでのアプローチを変えることで段階的にステージ進めることができ、逆戻りも予防することができます。


TTMの詳細は説明が長くなるため、STEP2:TTMアプローチ編にて解説させて頂きます!

興味があればぜひご覧ください💡
ここまで読んで下さりありがとございました。

  

   

【参考文献】
1)高齢者の運動と行動変容―トランスセオレティカル・モデルを用いた介入
2)アレルギー用語解説シリーズ,行動変容(behavior modification)

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